上川陽子法務大臣の臨時記者会見2018年の内容ほぼ全文書き起こし

2018年の7月6日、1995年に起きた地下鉄サリン事件を始めとする宗教団体オウム真理教【 現[ aleph ] 】の一連の事件に関わった首謀者である麻原彰晃被告（ 本名：松本 智津夫 ）【 63歳没 】ら7名の教祖および幹部の最高（ 極 ）刑が執行された。

【 当記事ページの目次 】

　1. 上川陽子法相が極刑執行で臨時記者会見の内容ほぼ全文

　2. 上川陽子法相がオウム事件の概要を説明した会見内容全文

　3. 上川陽子法相のオウム事件に対する所見の内容ほぼ全文

　4. 上川陽子法相への報道陣からの質疑応答の内容ほぼ全文

上川陽子法相が極刑執行で臨時記者会見の内容ほぼ全文

　現在の日本の刑罰で最も重い最高刑は、現在の法務大臣である上川陽子氏【 65 】が執行命令書に著名、捺印し承認を経て始めて極刑が執行される制度になっている。

6日午前の時点で既に極刑は執行されているが、午後0時45分から行なわれた臨時記者会見で上川陽子法相が語った内容の「 ほぼ 」全文を以下に書き起こしたので、ご覧頂きたい。↓

上川陽子法務大臣（ 以下、上川法相 ）「 本日、7名の極刑を執行しました 」

「 裁判の確定順で名前を申しあげますと、麻原彰晃（ あさはら しょうこう ）こと松本智津夫（ まつもと ちづお ）、早川紀代秀（ はやかわ　きよひで ）井上嘉浩（ いのうえ よしひろ ）、新実智光（ にいみ ともみつ ）、土谷正実（ つちや まさみ ）中川智正（ なかがわ ともまさ ）、遠藤誠一（ えんどう せいいち ）の、7名です 」

「 犯罪事実の概要等に付いては、別途お配りを致しました資料の通りです 」

「 関わった事件は、それぞれ異なりますがこれらの事件はオウム真理教の教祖であった松本、そして教団の幹部であった早川、井上新実、土屋、中川、遠藤が他の教団幹部らとも標榜するなどして、犯行に及んだものです 」

上川陽子法相がオウム事件の概要を説明した会見内容全文

「 中心的な存在である松本に関する資料を踏まえつつ事件の概要に付いて、申しあげます 」

「 1.平成元年（ 1989年 ）2月上旬頃、教団からの脱会の意志を表明していた信者を頸部にロープを巻いて締め付けるなどして生命を奪った事件 」

「 2.平成元年11月、教団被害者の会を支援する弁護士のほか、その弁護士の妻や1歳2ヶ月の子供までをも、頸部を締め付けるなどして命を奪った弁護士一家の事件 」

「 3.平成元年11月頃から、平成6年（ 1994年 ）12月下旬頃までの間に、科学兵器であるサリンを生成し、これを発散させて不特定多数の者の命を奪う目的で教団施設に於いて、サリンプラントをほぼ完成させ、作動させるなどしてサリンの生成を企てた事件 」

「 4.平成6年5月、対策弁護団の一員として教団からの脱会活動等に取り組んでいた弁護士にサリンを吸入させて命を奪おうとし、その自動車にサリンを掛けるなどしたが、サリン中毒症の障害を負わせるに、とどまった事件 」

「 5.平成6年6月、敵対視していた裁判官の宿舎を標的として、サリンを発散させ付近の住民である7名の命を奪い、また4名にサリン中毒症の障害を負わせた松本サリン事件 」

「 6.平成6年6月下旬頃から、平成7年（ 1995年 ）3月頃までの間に、ロシア製自動小銃を模倣した自動小銃、約1,000丁を製造しようと企て、部品多数を制作するなどした他、平成6年12月下旬頃から平成7年1月までの間に、小銃1丁を製造した事件 」

「 7.平成6年1月、教団から脱走したうえ他の信者を教団施設から連れ出そうとした信者をロープで頸部を締めるなどして命を奪い、その遺体を焼却して損壊した事件 」

「 8.平成6年7月、信者らの危機意識や国家権力等に対する敵愾心を煽るため、ある信者をスパイであるとして拷問を加えた上、頸部をロープで締め付けるなどして命を奪い、その遺体を焼却して損壊した事件 」

「 9.平成6年12月、教団から脱会しようとしていた信者の支援をしていた男性の命を奪おうとし、その後頭部付近に化学兵器であるVSを掛けたが、VS中毒症の傷害を負わせるに、とどまった事件 」

「 10.平成6年12月、警察のスパイであると一方的に（ 教団側が ）疑った男性に対し、その後頚部付近にVXを掛けて命を奪った事件 」

「 11.平成7年1月、教団からの脱会活動に取り組んでいた被害者の会の代表者の命を奪おうとし、その後頚部付近にVXを掛けたが、VXの傷害を負わせるに留まった事件 」

「 12.平成7年2月から同年3月までの間に、資産家である信者から多額の、お布施を引き出そうとしその所在を聞き出すため、その信者の兄を拉致監禁した上で自白を強要するため全身麻酔薬を注射するなどして命を奪い、その遺体を焼却して損壊した事件 」

「 13.平成7年3月、間近に迫った教団に対する強制捜査を阻止するため、東京都市部を大混乱におとしいれようと企て地下鉄電車内等にサリンを発散させ、12名の乗客や駅員の命を奪い、また14名にサリン中毒症の傷害を負わせた地下鉄サリン事件です 」

「 これらの他、松本が直接関与していない事件としても例えば井上（ 嘉浩 ）と中川（ 智正 ）が犯行に及んだ事件として平成7年5月（ 16日 ）、警察の捜査を撹乱し松本の逮捕を阻止するため、東京都知事等の命を奪おうとして手製の破裂物1個を製造し、これを都知事（ 青島幸男氏：74歳没 ）宛に送付して破裂させ都知事宛の郵便物の仕分け担当者に傷害を負わせた事件 」

「 新実（ 智光 ）が犯行に及んだ事件として平成7年3月から4月までの間、逮捕監禁事件で指名手配されていた信者の逮捕を免れる目的で、その信者をかくまうなどした事件などが有ります 」

上川陽子法相のオウム事件に対する所見の内容ほぼ全文

「 判決などでも指摘されている所ですが、これらの犯行は松本がオウム真理教を設立して、その勢力を拡大し、さらには救済の名のもとに日本を支配して自ら、その王となる事までをも空想して小銃の製造、サリン、VXの製造といった武装化を進め、その中でその妨げとなると見なした者は教団の内外を問わず、これを敵対視し『 その悪行を、これ以上積ませない様にポア（ 粛清 ）する 』、すなわち命を奪うという身勝手な教義の解釈の基に、その命を奪ってまでも排斥（ はいせき ）しようとして犯行、犯行未遂等に及び一部の者に対しては教団で製造した化学兵器であるサリンやVXを用いるまでし、さらにサリンを用いて、2度に渡り、不特定多数の者に対する無差別テロにまで及んだものでした 」

更生保護の日の7月1日からの1か月は第68回 #社会を明るくする運動 の強調月間であり,再犯防止啓発月間です。犯罪や非行をした人たちを社会から排除・孤立させるのではなく,再び受け入れることが自然にできる社会の構築を目指すものです。皆様のご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。 pic.twitter.com/ZiOPLDSFY5

— 上川 陽子 (@Kamikawa_Yoko) 2018年7月1日

「 これらの長期間に渡る一連の犯行は、組織的計画的に敢行されたものであると共に、過去に例を見ない、そして今後2度と起きてはならない極めて凶悪重大なものであり、我が国のみならず諸外国の人々をも極度の恐怖に陥れ社会を震撼させたものでした 」

「 特に、これらの犯行にサリン、VXといった化学兵器までもが用いられた事、また一般市民を対象とした無差別テロが行なわれた事は世界にも、衝撃を与えました 」

「 松本は長期間に渡って多数の犯罪を繰り返し、ついには無差別、大量の犠牲者を出す犯行に至るまでとめどなく暴走を続け、多数の配下のものを統制して組織的、計画的に犯行に及んだものであり、また、宗教団体の装いを隠れみのとして宗教の解釈を都合の良いように捻じ曲げ、簡略化させて犯行を正当化しつつ犯行を凶悪化させて行きました 」

上川陽子法相への報道陣からの質疑応答の内容ほぼ全文

　幹事社の産経新聞「 5点ほど質問させて頂きます 」

1. なぜ今回の極刑の執行が7名の人選になったのか？
2. 今回の刑の執行が、なぜこの時期になったのか？
3. 刑が執行された7名の内、再審請求中の囚人の有無
4. 現在、収容中の極刑の確定者と再審請求中の囚人数
5. 7名は1日の執行人数では過去最多になるのか？

上川法相「 ご質問を5点ほど頂きました 」

「 まず1点目の『（ 刑の執行 ）の人選に付いて 』で、ございますが個々の極刑執行の判断に関わる事柄でございまして、お答えに付きましては差し控えさせて頂きたいと思っております 」

「 また、2点目でございますが『 なぜ、この時期に？ 』という、ご質問でございました 」

「 この点に付きましても個々の判断に関わる事項でございまして、これについてのお答えは差し控えさせて頂きたいと存じます 」

「 一般論として申しあげるところでございますが、極刑の執行に関しましては個々の事案に付きまして、関係記録を十分に精査をし刑の執行停止、または再審事由の有無に付きまして慎重な検討をし、これらの事由等がない、と認めた場合、始めて刑の執行命令を発すること、としております 」

「 今回も同様に慎重な検討を経まして、極刑の執行命令を発したものでございます 」

「 3点目の、ご質問の再審請求中のものでございますが今回、極刑が執行された者に関する再審請求の有無に付きましては法務大臣である私から、お答えする事に付きましては差し控えさせて頂きたいと存じます 」

「 それから現在、確定した法務省に於いて把握をしております極刑判決の確定者に付きましては、117名でございます 」

「 ただいまの117名の中では収容者は116名ということになります 」

「 現在、法務省で把握をしております再審請求中の者は、92名でございます 」

「 それから最後の1回の人数でという、ご質問でございましたが平成10年（ 1998年 ）の11月以降、執行の事実および人数と言うのを公表するようになったところで、ございます 」

「 それ以降というところで申しあげるところでございますが1日で4名、執行した事がございます 」

「 これ（ 極刑の執行 ）は、3回ございました 」

「 以上5点の質問、これでよろしいでしょうか？ 」