本稿の主題は、今月の13日から16日まで訪中した韓国の文在寅・ムン・ジェイン大統領【 64 】が、なぜ訪問先の中国から冷遇されたのかを検証するのが狙いだ。
韓国からの国賓に対して中国側が取った対応が、あまりにも冷たい訳は1つの要素だけでは無いだろうが、「 THAAD( サード )問題に韓国側が従わないから 」というのが最も代表的な理由だと言われている。
中韓外交戦は中国の狙い通り 敗北で韓国の安保政策袋小路に陥った
— 産経ニュース (@Sankei_news) 2017年12月17日
→空港に出迎えたのは中国外務次官補
→約10回の食事で共産党指導部との会食は2回
→中国人警備員による韓国メディアへの暴行https://t.co/i37CA37AWa
中国側がキレている理由がTHAAD部分であることに間違いなく、ニュースサイトでも以下のように記述されている。
( 以下「 中韓外交戦は中国の狙い通り 」から引用 )↓
"習氏は、THAAD問題で中国の言うことを聞かない韓国を
訪中した大統領を冷遇するという方法で、
中国13億8,000万人の人民を前に“さらし者”にした。"
( 引用ココまで・出典:産経ニュース )↑
いわずもがな、現在の中国の最高指導者は習近平国家主席【 64 】だが、訪中した文在寅大統領を空港で迎えたのは「 孔鉉佑外務次官補 」だった。
また、習近平国家主席との共同記者会見も会食もなく国賓に対して、ぞんざいな扱いだった中国側に対して韓国メディアは「 冷遇である 」などとして怒り心頭だったと言われている。
さて、この様な経緯の中で「 中国が韓国の配備したTHAADに拠って自国の安全保障を脅かされるから 」と反発し、団体観光客の制限などの報復措置を取ってきたが、では一体THAADの何が気に食わないのだろうか?
中国側が自国の安全を脅かされると反発したTHAAD【 Theater High Altitude Area Defense missile 】サードとはアメリカが開発した「 戦域高高度防衛ミサイル 」のことだが、むろん北朝鮮の様に、韓国側が発射したわけではない。
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そもそも、THAAD自体は他国を攻撃する為の兵器ではなく自国を防衛するための防空ミサイルで射程距離も200km( ただし最大高度は150km程度とPAC-3の550kmよりも低い )と、迎撃装置の置いてある韓国の慶尚北道星州郡から、十分に離れている。
【 当記事ページの目次 】
今回、訪中した韓国の文在寅大統領に中国側が冷遇した理由は「 高高度防衛ミサイルTHAADの配備にある 」のが殆どであろう。
しかし、中国が反発しているサードの射程距離は200キロと、発射基地の有る韓国の慶尚北道星州郡からは十分な距離がある。↓
結論から申しあげてTHAADの迎撃範囲内である200キロ圏内では、どうしたって中国には届かない。
なかんずく届いたとしても冒頭でも、お伝えした通り、サードは攻撃用の兵器ではなくて防空用の迎撃ミサイルなので、なぜ中国が反発するのかが謎だった。
だが、その謎はTOP画像でも示した様に実はTHAADなどではなく、AN/TPY-2と呼ばれるサードと連携して機能するシステムの探知範囲が1,000キロと広大なため中国本土にまで掛かる事が気に食わなかったという解釈で解ける。
( 以下「 発射装置・C4ISRシステム 」から引用 )↓
"THAADの地上システムは、自走またはトレーラーによる移動式であり
10連装ミサイル発射機、Xバンドのフェーズドアレイレーダー
( AN/TPY-2 )、C4Iシステムからなる。
Xバンドレーダーは1,000km以上の探知距離を持ち、
飛来する弾道ミサイルの追跡・迎撃ミサイルの中間誘導も合わせて行う。"
( 引用ココまで・出典:ウィキペディア )↑
じつは、この1,000キロの探知範囲は、完全に中国本土のみならず、ロシアの国土までも入っているのだ。
( 以下「【図解・国際 】THAADレーダーの探知可能範囲 」から引用 )↓
"TPY-2の探知範囲は1,000キロに及ぶとされ、
中国とロシアが自国内まで監視されると反発を強めている。( ソウル時事 )"
( 引用ココまで・出典:JIJI.COM )↑
簡単に言うと、中国としては「 北朝鮮に対する警戒は今後も協力体制を取っていくが、俺らの国( 中・露 )まで探知してんじゃねーよ 」という言い分なのだろう。
ざっくり言って、レーダーに拠る探知で有っても、自国の領土が入っている事に中国側は反発してしているのである。
あくまでも個人的な想像だが、もしかしたら習近平国家主席は個人的には「 まぁ、レーダーくらいなら、どうでもいいや 」などと思われているのかも知れない。
しかし、そこは国家主席としても中国を代表する公人としての立場があるので、あえて厳し目な反発感情を出しているのかも知れない。
要は、中国国内の「 世論 」に配慮しているのである。
所で、THHADのレーダー探知範囲を見てみると、日本も国土の半分は、すっぽりと覆われて居るのだがwww
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いかに冷遇されたとはいえ、今回の中韓首脳会談が実現した背景には、中国側の3つの要求を韓国側が呑んだことで実現した。
即ち、「 THAADの追加配備をしない・アメリカのミサイル防衛システムに入らない・日米韓の安保協力を軍事同盟に発展させない 」という要求である。
以上の要求を韓国側が受け入れても、なお中国側の冷遇外交が今回の中韓首脳会談だったのである。
しかし、ここで謎が1つ発生する。
なぜ、THAADレーダーであるTPY-2の探知範囲が1,000キロもの広範囲に渡って必要なのだろうか?
パッと見ただけでも、半分の500キロ圏内でも十分な感じもするが、何か技術的な理由でも有るのだろうか?
上記の確たる理由は軍事専門家でないので分からないが、ひとまず中国と韓国は小康状態を保っていると言えようか。
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当「 世界の最新ニュースとを一刀両断 」でも過去に記事に、したためた事があるが、同じ地対空迎撃ミサイルでもPAC-3とTHAADでは、防衛システムの機能としての性能が、まるで違う。
THAADは分類的にはパトリオット・ミサイルでは無いが、防空の役割を果たす地対空ミサイルではという意味では同じだ。
前述したように、サードの射程距離圏内は200キロ( ただし最大高度は40~150キロとパック3よりも低い )なのに対して、PAC-3の射程距離範囲は20~30キロ程度( 最高高度は550キロ )と、かなり狭い範囲に限定される。
日本では、過去に北海道の襟裳岬の上空を北朝鮮の弾道ミサイルが通過したことが有ったので千歳基地に増強配備したとあるが、そもそも射程距離範囲が20~30キロ程度では果たして有事の際、有効に機能するだろうか?
上記の内容からも、同じ対空防衛システムでも、THAADとPAC-3では、射程距離範囲だけで実に10倍以上の開きが有るのである( くどいようだが、最高高度はパック3の方が上 )
イージス艦に搭載されている防空ミサイル「 SM-3 」の射程範囲は500キロ、最高高度の射程は700キロ( ブロック2Aは高度2,000km )に比べれば、THAADの方の性能が低い。
しかしながら、値段は張るものでTHAAD1基につき、約1,000億円するらしい。
( 以下「【 図解・行政 】ミサイル防衛の仕組み( 2017年5月 )」から引用 )↓
"別途導入を検討している米最新鋭地上配備型迎撃システム「 高高度防衛ミサイル( THAAD )」は、
SM3とPAC3の迎撃範囲の隙間を埋める形で多層防衛が可能だ。
ただ、1基1,000億円超の費用がかかり、最低でも6基必要とされる。"
( 引用ココまで・出典:JIJI.COM )↑
PAC3の日本全国の2017年の配備状況では防衛出来ない現実が!
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