本稿は、対人用の軍事兵器を奨励するコンテンツでは無いことを、ここにハッキリと申し上げておく。
【 この記事ページの目次 】
一応、日本全国に配備されてるが
先月の29日と今月の15日に北朝鮮がミサイル火星12号を日本の襟裳岬上空に向けて発射したことから19日に陸上自衛隊の北海道・函館駐屯地に地対空ミサイル「 PAC3 」の配備を行った。
新たに函館に配備されたPAC3【 Patriot Advanced Capability-3 】を併せて2017年9月20日現在で日本全国の配備状況は6個高射群中の18個高射隊に増強されたのである。
上図の赤丸は2017年9月現在、日本全国に配備されているPAC3の配備状況なのだが、これを見てあなたは「 十分な数だな♪ 」と思われるだろうか?
後ほど詳しく述べるが、PAC3の1基辺りの射程距離は多く見積もって「 直径50Km、発射の最高高度は550Km 」であり、並列して配備されているイージス艦の迎撃ミサイルSM3ブロック1Aに至っては最高高度300Km程度だと言われている。
なお今回、パトリオット・ミサイルのPAC3が配備された函館の駐屯地は陸上自衛隊だが、基本的に防空システムを管轄する「 高射部隊 」は、航空自衛隊が受け持っている。
補足説明を入れさせて頂くと、日本の防空システムはPAC3単体ではなく、イージス艦の迎撃システムSM3と連携して、撃ち漏らした対象物を援護射撃するものだが、これは後述する。
次章で日本全国のPAC3の配備状況を、お伝えしていくが、2017年現在の基数では、日本の本土防衛を完全にカバーするには、まだまだ足らないと言える。
- 2017年9月現在のPAC3の配備状況は?
- 6高射群中の17高射隊と1教導群
- PAC3の1ヶ所の射程距離は50Km圏内
- 最高高度は550Km程度と性能不足か
- 函館駐屯地に新たに配備されたと報道
いまさら言わずもがな、だがPAC3は対人用の攻撃ミサイルでは無く、日本本土を北朝鮮から飛んでくるミサイル守る防空用のミサイルなので、ここは誤解なさらないで頂きたい。
具体的に日本全国の、どの基地にPAC3が有るのかを配備状況が、ひと目で分かるように図解で説明する。
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PAC3の日本全国の配備状況
最初に、お断りしておくが、PAC3の日本全国の配備状況は防衛省などの公式HPでは一覧が公開されていない。
情報ソースは以下のサイトを参考に、させて頂いた。
( 以下「 自衛隊のPAC3ではこの国は絶対に守れないことが判明 」から引用 )↓
“16個部隊、1個教導隊が2機ずつ
合計34機の発射機を持つ。
2機ずつなのは発射機を2機並べて
使うためで、これにより防御地点は
全国で17カ所となる。※2017年6月時
防御範囲は1カ所あたり直径50kmとされる。”
( 引用ココまで )↑
「 1ヶ所の射程距離は直径50キロ 」この数字だけは、覚えていただいて、日本全国の配置場所を確認して参る。
関東防衛を担当する高射部隊は「 第1高射群 」と呼ばれる。
この、第1高射群の中には「 第1高射隊 」から「 第4高射隊 」までが直属の部隊として存在しているが関東防衛には、この4個隊全てにPAC3が配備されている状況だ。
先ず、第1高射隊は習志野分屯基地にあり千葉県船橋市薬円台三丁目20番1号が所在地だ。
第2高射隊は武山分屯基地にあり、神奈川県横須賀市御幸浜1-1に所在する。
第3高射隊は霞ヶ浦分屯基地で、ここ茨城県の土浦市右籾町2410に有る。
第4高射隊は入間基地に有り埼玉県狭山市稲荷山2丁目3番地である。
これGoogleマップを、こんなに貼りまくって画面が重くならないかなぁ.....(^_^;)
お次は九州防衛を担当する「 第2高射群 」である。
PAC3を配備する第5高射隊と第6高射隊は、いずれも芦屋基地に有り、所在地は福岡県遠賀郡芦屋町大字芦屋1である。
第7高射隊は築城基地であり、福岡県築上郡築上町西八田に有る。
続いて第8高射隊は高良台分屯基地であり、福岡県久留米市荒木町藤田に位置する。
お次は北海道地方の防衛を担当する「 第3高射群 」である。
第9高射隊は千歳基地に有り、北海道千歳市平和無番地が、その住所である。
そして今回、ニュースでも報じられた陸自の函館駐屯地が北海道函館市広野町6-18に、あるのだが高射隊と言う記載は見当たらず、「 第28普通科連隊 」とい名称が見つかったのみである。
さて、中部地方の防衛を担当するのが「 第4高射群 」であるが、創設年は不肖この私めの生まれ年と同じ1973年だ。
ここも、第12高射隊から第14高射隊まで4個隊あるが、全てにPAC3を配備している。
第12高射隊は饗庭野( あいばの )分屯基地で滋賀県高島市新旭町饗庭3356-1に存する。
第13高射隊と第15高射隊は同じ岐阜基地に有り岐阜県各務原市那加が住所に、なる。
そして中飛びの第14高射隊は白山分屯基地にあり重県津市白山町大原字天王297が、その所在地である。
沖縄防衛を担当するのが「 第5高射群 」である。
第17高射隊は那覇基地にあり、沖縄県那覇市字当間301が所在地になる。
第18高射隊は知念分屯基地にあり、沖縄県南城市佐敷字佐敷1641。
そして東北防衛を担うのが第6高射群であり、ここにPAC3を配備しているのは、第21高射隊の車力分屯基地( 青森県つがる市富萢町屏風山1 )だけである。
最後は航空防衛隊員の教育支援を行う高射教導群の第2教導隊がある航空自衛隊の浜松基地( 静岡県浜松市西区西山町無番地 )にPAC3が配備されている。
以上が、2017年9月現在のPAC3の全国配備状況になる。
いや~しんどかったなぁ、この作業。( 笑 )
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PAC3は1000台は配備しないと無理かも
前述した様に、繰り返すがPAC3本体の射程距離が現行型のもので直径50Km圏内、ミサイルの最高高度は550Kmで有るという。
( 以下「 なぜ北朝鮮のミサイルは"これまでにない脅威"で迎撃しなかったのか 」から引用 )↓
“では、万が一の際の弾道ミサイル防衛
( BMD )は、どうなっているのか。
まず、イージス艦に搭載される海上配備型迎撃ミサイル
「 SM3 」が、大気圏外で弾道ミサイルを狙う。
外れた場合は、抵高度で地上配備型迎撃ミサイル
「 PAC3 」が地上から十数キロで破壊に挑むことになっている。
現行の「 SM3ブロック1A 」の到達高度は約300キロ。
「 PAC3 」とともに今回発射されたミサイルについて、
推定される最高高度約550キロには届かない。
防衛省は、北朝鮮が今回発射したミサイルを
どう考えているのか。
BuzzFeed Newsの取材に、担当者はこう話した。 「 ミサイルがPAC3などの射程範囲内なら迎撃は可能です。
今回に関して言えば、迎撃できなかったではなく、
迎撃しなかった、必要が無かったとしか言えません 」
防衛省は防衛態勢の強化を図る。
高度1000キロ以上に達する「 SM3ブロック2A 」を
米国と共同開発し、2021年度の配備を目指している。”
( 引用ココまで )↑
つまり、地対空ミサイルSM3を搭載したイージス艦と連携して有事に当たるとの説明だが、現在の設備で十分なのだろうか?
なぜ、こんな事を綴るのかと言うと、先月29日に発射された北朝鮮ミサイルの火星12号の高度は550キロで有ったと言われ、これでギリギリ届くか否かのラインであるからだ。
今月15日に発射されたMissile火星12号は高度800Kmだったために、PAC3でもSM3でも届かない。
( 以下「 RIM-161スタンダード・ミサイル3 」から引用 )↓
"最大高度:70-500km( 44-310マイル )"
( 引用ココまで・出典:Wikipedia )↑
現在、国連安全保障理事会の制裁決議が発動され、北朝鮮への圧力が掛かっている状態では有るが、石油の輸出も完全に止めたわけではない。
いつ、また北朝鮮がミサイルを飛ばしてくるか、金正恩委員長本人しか分からないだろう。
なら、今すぐにでもPAC3の配備数を増やせないものか?
防衛省が正式に発表した数字ではないが、PAC3の本体価格は1基に付き約116億円( NEVERまとめ )ミサイル弾は1発で約5億円なのだとか。
軍事兵器なのだから、当然といえば当然なのだが、この価格じゃあ、10兆円以上も掛かるPAC3の1000台配備なんて夢のまた夢か。
つか、最高高度が現行のままでは何千台配置してみても、やはり届かないので気休め程度にしかならない。
ちょっと厳し目な意見で申し訳ないが、今のPAC3の日本全国の配置図を見ていると、網の付いていない「 ポイ 」で金魚を、すくうような感じが個人的にはするのだが......(^_^;)
1基につきPAC3弾を16発搭載
地対空ミサイルのPAC3は1基に付き、PAC3弾を最大16発、搭載出来る能力を持つ。↓
しかし、この性能が射程距離を今の50Kmから広げることにはならない。
一気に1000台のPAC3増強は無理ゲーでも、せめて倍ていどの配置数には、ならないものなのか。
なぜならば、今やPAC3と言えば火星12号だからなのだ。
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2009年以降は命中率100%らしい
パトリオット・ミサイルPAC3の性能自体は素晴らしいらしく、実験では有れど2009年12月以降は100%の命中率を誇るとされる。
( 以下「〝無法〟北朝鮮の弾道ミサイルを打ち落とせるのか! 」から引用 )↓
“特筆すべきは、ミサイル誘導に新ソフトウェアを 導入した2009年12月以降の成績だ。 2013年末までに14回実施し、失敗は一度もなく、 100%の命中率を誇る。”
( 引用ココまで・出典:産経WEST )↑
これはこれで、非常に素晴らしい結果だが、いかんせん北朝鮮からのミサイルに対しては、気休めだとは言わないが防衛省の言う、万全を期す防御体制だとは言い難い。
「 PAC3が配備されてホッとしました 」と語った函館市民の声がニュースで報じられたが本当に枕を高くして寝られる日は、まだまだ遠い様な気がする。
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