いまから50年前の1968年に発生した公害病、
カネミ油症事件の原因物質は一般的にはPCBだと言われているが、
更に詳しく細分化すると何なのか?
昨日の記事でも、つづったが「 黒い赤ちゃん 」に代表されるカネミ油症事件の深刻な症状を引き起こ原因となった物質について徹底的に検証した。
1968年に九州地方を中心に発生した、カネミ油症事件はカネミ倉庫が販売していた食用油の「 カネミライスオイル 」の中に混入していた「 PCB 」いわゆる猛毒のダイオキシンが原因である。
しかし意図的に入れたものではなくて、PCBが循環する工場内の消臭用の配管に穴が空き、そこから食用油を生産する窯の中に流れ出した事に気づかずに出荷した事が原因だった。
電気の絶縁や冷却用として使われた工業用油の化学物質PCB( カネクロール )は、ダイオキシンの一種で、提供していたのは鐘淵化学工業株式会社( 現:株式会社カネカ )だ。
油に溶けやすいPCBは一旦、体内に入ると脂肪組織に溶け込んで、なかなか外に出ていかない。
数十年経って、ようやく半分が出るかでないか、と言われている。
猛毒ダイオキシンのPCBは3種類ある。↓
ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン( polychlorinated dibenzo-p-dioxins,PCDDs )
ポリ塩化ジベンゾフラン( polychlorinated dibenzofurans,PCDFs )
ダイオキシン様ポリ塩化ビフェニル( dioxin-like polychlorinated biphenyls,DL-PCBs )
では、カネミ油症事件の真の原因物質は何か?
その後、PCBの定量分析法が開発され、
油症の原因物質はPCBではなく、
PCBの高温加熱によってできるダイオキシン類の一つである
ポリ塩化ジベンゾフラン( PCDF:Poly Chlorinated Dibenzo Furanの略 )や
コプラナーPCBであることが判明しました。
つまりまとめると、カネミ油症事件の原因物質は、本来PCBであったものが食用油の中に流れ出したことで変化した、ポリ塩化ジベンゾフランであるPCDFと、コプラナーPCBの2つの物質であることが判明したのである。
大きく分ければ、原因物質はPCBなのだろうが、いずれにしても猛毒であるダイオキシンが食用油の中に混入された状態で販売され、被害に遭われた方々の口の中に入っていった。
スポンサードリンク
当時のカネミ油症事件の原因を告発したのが、非常勤の取締役だった加藤八千代氏だった。
加藤八千代氏は、創業者の加藤平太郎氏の愛娘であり、2代目社長の加藤三之輔氏の姉でもある。
1968年1月末から2月にかけて、カネミ倉庫の脱臭缶では
PCBが異常に減少したのですが、PCBの性質について
知識のなかった従業員は深く考えもしないで、PCBを補充していました。
結果として、ライスオイルに混入したPCBの量は280㎏に及びました。
尚、PCBが漏れた原因は吸収缶の温度計をメンテナンスしたときに
誤って蛇管に穴を開けていたことだと後に判明します。
1968年11月には、福岡県と九州大学の調査で油症の原因が
ライスオイルに混入したPCBであることが判明します。
しかし、当時のカネミ倉庫はことの重大性を認識できておらず、
PCB混入がわかってドラム缶に回収していたライスオイル500ℓを
正常油に少しづつ混ぜて販売することをしています。
カネミ倉庫は、社員やその家族、出入り業者などと口裏合わせをして
事件の隠ぺいや矮小化を図ろうとしました。
やはり、PCBがライスオイルに混入した原因は、配管の蛇管に穴が空き、そこから猛毒物質である、PCBがライスオイルの中に漏れ出して居たことだったのだ。
しかも、当時の従業員たちが事の重大性に気づいていない所が非常に恐ろしい。
当時、被害に遭われた方々も、スーパーで売られている食用油のなかに、まさか猛毒が含まれているなどとは夢々おもわなかったに違いない。
スポンサードリンク
カネミ油症事件なる公害病は、ずさんな生産管理工場のシステムがもたらした弊害そのものだ。
まさか消費者は買ってきた食品を食べる前に、「 これ大丈夫かな? 」などと、いちいち検査してから料理するわけがない。
2018年の今は、1968年の当時に比べれば、厚生労働省の安全基準が厳しいだろうから、そうそう危険な商品は出荷できないはずだが、失ったときは取り戻せない。
人間が口に入れる食品は、安全のためにも検査基準を徹底的に厳しくして頂きたいものである。
▲ページの先頭へ
この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。
コメント 0